夏休みが終わりました。娘2号が高校生になり、長期休暇中も手がかからなくなったとはいえ、夏休みが終わるとやはりホッとします。
学校が始まった朝、私が毎年決まってすることは、家族が出払ってガラーンとした家を掃除した後に「あ~今年も終わった!」とリビングで大の字になること。1ヶ月間の御三どんから開放された気分を味わい、仕事優先の兼業主婦生活に切り替えるための私の密かな儀式です。
娘1号の小学校入学から15年間繰り返されてきた夏休み。今年は私を除く家族3人が広島にある実家へ帰省し、初めての一人暮らしを経験しました。たった3日間だけでしたが、自由人の私には絶好の息抜き。1ヶ月前くらいから「3日間は絶対に家事をしない」「友達と出かけて夜遅くまでお喋りする」と計画を立て、遠足前の小学生のようにワクワクしてその日を迎えました。
取材などで国内外を鉄砲玉のように飛び回り、家族に見送られている私が、今度は旅立って行く家族を見送る立場に。空港で遠くなっていく飛行機を眺めながら「なるほど見送る人間の感情とはこういうものか」と道中の無事を祈る気持ちと開放感が入り交じった感覚を発見しました。
その後の3日間は、計画通りに自分の好きな時間に起床し、誰にも邪魔をされずに仕事することができ、一切の主婦業を放棄して久しぶりに一人暮らしの独身気分に戻り存分に羽を伸ばすことができました。
しかし意外だったのは、不安で眠れなかったこと。玄関のドアを施錠し、いつもはかけないドアチェーンをしても一人きりの家で熟睡することができず、情けないことに3日目には睡眠不足でフラフラになってしまいました。
意外に小心者だったことが判明した母を尻目に、夫と娘1号が仙台に戻った後も単独で広島に滞在した2号は、広島暮らしを満喫した様子でした。今回の彼女の広島行きは、密かに進学を考えている大学の偵察という目的もあったようです。県外の大学進学を考えていることを初めて知らされたのは帰省直前でした。
彼女が高校を卒業する2年半後には、毎日が「家族不在の夏休み」のような生活になるのでしょうか。
わが家の最後の夏休みまであと2回。スッキリするような、やり残したことがあるような、またしても入り交じった気分を感じながら、兼業主婦の日常に戻りました。
(2015年8月25日付・河北新報掲載)