東日本大震災後、「災害危険区域」に指定され、
付近に住むことも、
海で泳ぐこともできなかった
仙台市唯一の海水浴場「深沼海水浴場」。
ようやく昨年から期間限定で海開きされることになり、
今年も7月27日から30日までの4日間だけ
市民がここで遊泳することが許されています。
「深沼」というのは
仙台市若林区の沿岸部にある「荒浜」の別称。
この春から荒浜地域の取材をしている私は
今年度の海水浴場オープン日に
防潮堤を越え、海水浴場を見学させてもらいました。
海水浴場は
「ふかぬまビーチフェスタ」という名称で
4日間だけのイベント開催。
入場者は1日600人限定で
事前に予約した人だけ入場できます。
初日は雲が多く、若干風が強かったせいか
ざっと見たところ、
入場者数は600人より少なめでした。
以前はこの防潮堤のあたりは
草や松が密集した林になっていて
砂浜はこんなに広くなかった記憶があります。
いまどきの海水浴は
砂浜にテントなんですね〜。
彩りがきれい。
まず感じたのは、砂浜が綺麗になったこと。
毎月1度、市民が参加する海岸清掃「ビーチクリーン」によって
とても美しくなりました・・!
昔は鳴り砂で有名な浜辺だったとか。
荒浜で不定期にワークショップを開催していらっしゃる
「鳴り砂研究家」のお話によると
綺麗な砂でなければ、
キュッキュッという良い音が出ないそうです。
「昔のような鳴り砂を復活させよう!」というのが
ここ、荒浜(深沼)の
海岸清掃ボランティアさん達の合言葉になっています。
私も海岸清掃に2回参加したのですが、
「浜辺にあってはいけないもの」が多くてビックリでした。
特に割れた瓶や缶のプルタブ、
ボールペン、
割り箸などが多く
小さな子どもに「裸足で遊んでいいよ」とは
残念ながら言いにくい状況でした。
この4日間の海水浴のためにも
地域の方や市民が一生懸命にゴミを拾って
ここまで綺麗な砂浜になったことを
少しでもいいから知ってもらえたらいいな・・と思います。
荒浜の海は波が高く、
多くのサーファーに人気のポイント。
小さな子ども達を安心して遊ばせるために
こんなプールも用意されていました。
砂浜では写真展も開催していました。
その名も「海辺の写真展2019」。
「海辺の図書館」専属の
81歳のカメラマン・豊さんの作品や
荒浜で活動している方々の写真を展示しています。
砂浜で写真展って、なかなか素敵。
どの作品もメッセージ性があって、
風景に溶け込んでいましたよ。
昔の「深沼海水浴場」の写真も。
向こうの方に見える木製の小舟や
浮き輪が時代を物語っています。
仙台生まれ仙台育ちの人に話を聞くと
「夏になったら仙台から1時間くらいバスに乗って
一家で海水浴に行くことが楽しみだったんだよ」と
懐かしそうに語る人が多く、
この深沼海水浴場が
仙台のかつての子ども達にとって
思い出深い存在であったことがわかります。
しかしここが海水浴場として
本格的に再開される目処は現在も立っていません。
かつては地元の住人が運営する「海の家」がありましたが
限定開催の海水浴場となった昨年に引き続き、
今年も地元の方々の出店はありませんでした。
「なんかちょっと寂しいね」
「昔の海の家が復活すればいいんだけどなあ」・・・と
荒浜に住んでいた方がポツリと呟いていたのが印象的でした。
30日まで限定開催される「ふかぬまビーチフェスタ」。
子ども達は今のこの海で、
どんな思い出を生み出すのでしょうか。