「海辺の図書館物語」小冊子が発行されました。

ここを訪れた人にしか手に入らない
小さな一冊。
仙台市沿岸部・荒浜で生まれた本を
荒浜で発行する、
地産地消型の紙の本です。

公式サイトとブログで
WEB漫画を不定期連載してきた
「海辺の図書館物語」。


「修学旅行や研修、
個人旅行でここを訪れる人々に
東日本大震災直後から
『海辺の図書館』が生まれるまでの話を
紙の本で伝えたい」という
『海辺の図書館』関係者のご希望があり、
この夏、小冊子になって
発行されました。

館長・ショージと
海辺の図書館専属カメラマン・豊さん。
館長の笑顔がなんとも素敵(笑)

漫画で描いているショージと
実物のショージ、
ちゃんと似ているでしょうか?(笑)


ここからはちょっと裏話です。
このWEB漫画『海辺の図書館物語』は
海辺の図書館がある、
仙台市の沿岸部・荒浜地区を
2019年から取材し
東日本大震災10年を振り返る作品として
まとめることを目指していました。
出版社を通さず、個人的な場で
不定期に描いていたのは
「この作品は自由に描きたい」という
思いがあったからです。


しかしその後、
コロナウイルス感染症が流行して
取材ができなくなったり、
震災10年の節目に急遽依頼された
震災伝承漫画制作の仕事にかかりっきりになったり。
それらが終了して
「ああ、やっと図書館物語に専念できる」と
思ったら
今度は私の体調がダメダメになったり・・・。


なかなか先に進むことができず
作者である私は焦るばかりでした。
下準備としての取材は
どんどん進めていたのに
作品は一向に形になっていない。
多くの時間を頂いて取材させてもらい、
話を聞かせてもらった
元荒浜の住民や
荒浜で活動している方々、
そして館長ショージや
豊さん、
「楽しみにしているよ」と
言ってくれた方々に
申し訳なさが募りました。



そんな時に館長ショージから
「『海辺の図書館誕生の話だけでも
冊子にしたいんだけど」と言われ、
本当に嬉しかったです。
「少しはお役に立てるかも」
そんな思いがよぎりました。

小冊子『海辺の図書館物語』は
一冊500円。

津波で流された館長ショージの
自宅跡地に設置された『海辺の図書館』には
いまだに電気も水道もガスもありません。
そんな中、知恵と工夫で
県外からの訪問者を受け入れ、
震災伝承活動をしている彼ら。
小冊子の収益金は
その活動資金として活用されます。


当面は地産地消型販売とのことですので
現地にてご購入ください。
(そのうち遠隔地からも購入してもらえるような
仕組みができるといいですね)


コロナがぶり返してきていますが
この夏、荒浜を訪れる
沢山の方々の手元に
旅立っていきますように。


震災から11年経っても
沿岸部では
そこで生きる人々の物語が続いています。
そんな物語を
焦らず、じっくりと、丁寧に
漫画で伝えたいと思っています。