災害と子どものココロ

お子さんがいらっしゃる家庭では
既に子どものメンタルを守るために
様々な情報を取得して
毎日取り組んでいらっしゃると思います。


東日本大震災以降、
大きな災害が起こるたびに
子どもや大人の心の問題が出てきたので
今回のコロナ騒動では
メンタルへの影響について
専門家、専門機関が
早くから注意を呼びかけていました。
災害は悲劇でしかないけれど
その体験から私たちは学んで
社会を改善していけるんだ・・・と
頼もしく感じています。


なので
私が改めて提供する情報は
あまりないのですが、
東日本大震災、熊本地震、台風19号など
大きな災害が起こった時に
子どもたちを取材してわかったこと、
実際に我が家で実践してきたことを
抜粋してイラストに書き起こしてみました。


私たちは仙台在住なので
東日本大震災では被災しましたが、
(当時、下の娘は小学生でした)
実際に被災していない子どもでも
ニュースなどの音声によって
メンタルに影響を受ける子どもが多く、
(大人も同じですよね)
「え?こんなことが影響するの?」
・・ということが少なくないと感じます。


1つずつ解説させてもらいますね。


①TV、YouTubeのニュースは
つけっぱなしにしない。


解説するまでもないことですが、
これは大人にとっても
メンタルに好ましい影響を与えません。
精神科医によると、
「1日1回、
必要な情報を確認するのがベスト」
ということでした。


私は仕事柄、1日1回のみで
必要な情報を取得するのは無理なので
朝・昼・夕方の3回と決めて
そのたびにガーっと情報を拾っています。
そして近くに娘がいる場合は
彼女が大学生になった現在でも
「今、ニュース見たいんだけど、
いい?」と聞いてから見るようにしています。
「いいよ」と言いつつ、
たまに自室に移動することがあるので
「何となく耳にしたくない」という時が
あるのでしょうね。


②報道を見るときの
大人のリアクションに注意


これは東日本大震災の体験から
学んだことです。
私の夫は普段から
リアクションが大きいのですが(笑)
娘たちの表情を観察していると、
震災後、電気が復旧してから
TVを見たり、
新聞を読んだりする際に
無意識に発する夫の声に
ビクッとしたり
唇を噛むことが多く、
「これはまずい」と感じました。
(夫がリアクションするたびに説明して
改善してもらいました)


「わー、大変だ」
「どうしようー?」
そんな、つい言ってしまいがちな
大人の言葉や反応を
子どもは聞いていないように見えても
しっかり聞いていて
大人の不安や恐怖を
小さい体で吸い取っていると思うのです。
それが毎日蓄積されていったら
身がもたないのではないかな・・と。


私が取材した福島や
関東の子どもたちの中にも
ニュースの音声、
それを観る大人の反応によって
自分は被災していないのに
「津波に遭った」と思い込んでしまった
こども達が複数いました。

↑「ふくしまノート」2巻

③子どもは不安や嫌な思い、恐怖が
深刻であればあるほど
言葉にすることができない。


私たち大人は子どものことを
「何も言わないから大丈夫」
「普通に遊んでいるから大丈夫」
・・・と思いがちですが
どんなに優秀な子どもであっても
自分の精神状態を分析して
きちんと整理し、
言葉で伝える力を持っている子は
そうそういないと思います。


そして大人は
誰かに不安や恐怖を話すことで
自分の心の傷を癒すけれど、
子どもはそうではありません。
言葉ではなく、体を動かしたり
手を動かして遊ぶ、表現することで
自分の傷を自分で癒そうとします。


そのことを知っておくだけでも
ずいぶん違うと思うのです。


④子どもの心の問題は
時間が経ってから表面化する


東日本大震災で被災した
沿岸部の子ども達の中で
数年後にトラウマが表面化してきたことが
報告されています。
「原因もないのに突然怒り出す」
「授業中、落ち着きなく歩き始める」
「赤ちゃんがえりをする」


もちろん、
すべての子に現れるものではありませんが
できればトラウマを抱えることは
防ぎたいところです。


トラウマを研究している
心理学の専門家によると
「災害の場合、発生後半年間の
心のケアが最も重要」ということで、
初期の段階でのケアの大切さを
知っておくことが必要かと思います。


⑤1日1回は安全な場所で
「コロナ無しの時間」をすごす。


非日常の生活が続いている中で、
少しの時間でも
日常を取り戻すということです。
長い出張や帰省を終え自宅に戻ったら
緊張感から解放されて
ホッとした・・・ということは
ありませんか?
あの間隔を毎日短時間でも味わうことは
「自分を取り戻す」ということに
繋がるのではないかと思うのです。
これもやっぱり
大人も子どもも同じですよね。


私自身もこれは今も実践していて
音楽をかけて
日常の家事をする時間を作っています。
そんな時は娘もリラックスした表情で
あれこれ話しかけてきます。
今は意識して作らないと
「コロナ無しの時間」なんて
作れないと思いますが・・・
よかったら試してみて下さいね。


⑥不安な気持ちを
子どもに無理に隠さない。


子どものメンタルケアのガイドブックや
アドバイスを見て、
「こんな聖人みたいなこと、できない」
・・・と感じたことはないですか?
大人だって不安で
毎日精一杯生きていいる中、
子どもに対して完璧でいられるはずは
ないと私は思うのです。


だからって
「私だって大変なんだ!」とか
闇雲に子どもに不安をぶちまけるのが
良いとは思いません。
ただ、本当は不安で怖くて仕方ないのに
「大丈夫」と嘘をついても
子どもは容易に大人の嘘を
見抜いてしまうのではないでしょうか。
そして子どもは
「嘘をつくくらい大変なんだ」
「このことは、ふれちゃいけないことなんだ」と
誤解し、
心を閉ざしてしまうことが多いようです。


じゃあ、どうするか?というと
できる限り自分が抱いている
不安な気持ちを整理して
子どもに伝えることかな・・と。
大切なのは
「一緒にがんばろうね」というメッセージを
しっかりと伝えることだと思うのです。


そうやって大きな人間と
小さな人間が
支え合って乗り切っていくことで
困難な体験が
ずっと後になって
温かい記憶に変化していく。
この9年の間に生じた
そんな大人と子どもの関係性を
たくさん目にしてきました。



大きな災害が起こった時は
精神的に余裕がなくなってしまうのは
当たり前のことですよね。
そんな大人の様子を
子ども達は何も言わず
じっと見ているのは、言うまでもないこと。
どんなに無邪気そうに見える子どもだって
大人のココロを敏感に察知しています。


そして逆に
大人は子どもの心をケアすることで
「自分にも無理をさせない」ということが
できるようになっていくようです。
つまり子どもの心を安心させることは
大人にとって
自分自身の心を安定させるということに
繋がっているのだと思います。


長くなりましたが、
知っておくことで
防げること、
早めに取り組めることがあるので
書かせてもらいました。
すでに専門家のガイドブックを
目にされている方が多いかと思いますが
参考にしてもらえたら嬉しいです。

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