表題の通り、
食品の基準値(100ベクレル/キロ)を超える
山菜・コシアブラが販売されていたのは
フリマアプリ「メルカリ」で
個人間売買されていた物でした。
メルカリで取引されていた
コシアブラを測定したのは
原発事故直後から
食品や土壌、空間線量などの
測定活動を継続している、
「ふくしま30年プロジェクト」さん。
30年プロジェクトの阿部さんによると
「(ネット取引されている)
乾燥椎茸を測定してみると
基準値を大幅に超える結果が出た」と
投稿されたツイートが気になり
ヤフオク、メルカリを確認したところ
コシアブラが大量に出品されていたそうです。
私も
「メルカリでコシアブラ?」と驚き、
実際に見てみると
大量に出品されていました。
(上の写真は6月4日のスクショ)
ヤフオクでも
収穫されたコシアブラの他、
コシアブラの苗木など
やはり大量に出品されていて
どれも入札されていました。
(6月4日のスクショ)
30年プロジェクトさんが
今年4月〜5月の間に
メルカリから
産地が異なる数点のコシアブラを購入し
測定してみた結果、
上記のように
山形県産、宮城県産のコシアブラから
100ベクレルを超える数値が出ました。
そして6月3日には
群馬県産のコシアブラから
390ベクレルのセシウムが検出されました。
基準値のほぼ4倍の
放射線量のコシアブラが
まだ存在していて、
知らずに売買されているということです。
その後、4月に発覚した
メルカリのコシアブラについては
30年プロジェクトさんが
保健所に通達し、
保健所からメルカリに指導が入り
コシアブラを購入した人に
「100ベクレルを超過していることが
判明しました」という
自主回収の通知と
お詫びが送られたそうです。
(でも生物ですから、
おそらく購入された方は既に
消費されていたと思います・・・)
「なぜ基準値を超えているのに
『出荷制限』ではなく『自主回収』?」と
不思議に思われるかもしれません。
100ベクレル超過の食品に出される
「出荷制限」は
こんな流れで設定されます。
出荷前、出荷後に
基準値100ベクレル/kgを
超えるセシウムを検出
↓
その産出地域と周辺地域で
同じ食品をモニタリング検査する
↓
基準値超過の結果が
複数出る
↓
原子力災害対策本部長(安倍総理)から
出荷制限が指示される
↓
県域、市町村などの地域で
出荷と販売が制限される
・・・と
特定の生産者さんから
1つだけ基準値を超える作物が
出たとしても
「出荷制限」にはならないのです。
そして今回のコシアブラは
出荷販売後に
購入者が測定したことによって
基準値超えが発覚しましたが、
個人販売されているものは
出品者が販売前に測定し
基準値内であることを
確認しているとは限りません。
そして残念ながら
それは直売所などでも
同じことが言えるようです。
もし事業者が
出荷制限指示されている食品を
販売した場合、
県の食品衛生課によって
店名が公開発表され
罰則として改善指導、
当該食品の破棄命令、
営業許可の取り消しなどが課せられます。
悪質な場合は
2年以下の懲役または
200万円以下の罰金が適用されるケースも。
しかし個人販売の場合は
その規定に当てはまらず、
販売する人の放射線量に関する知識と
良識に委ねられることになります。
つまり
出荷制限が出ている食品も
個人販売はできる・・・ということです。
今回参加させてもらった
オンラインセミナーの主催団体
「みんなのデータサイト」の関係者の方々によると
「新鮮で美味しいが、
測定して基準値が超える物が
見つかりやすいのは直売所」ということでした。
(直売所は私もよく利用させてもらいますが
美味しいものが多いですよね・・・)
では個人販売や直売所で購入する際、
消費者はどうすれば良いのでしょうか?
①産地を確認する。
②当該産地・当該食品の線量を調べる
(行政や民間の測定所サイト。ネットで検索できる)
③販売者に「測定をしていますか?」と
直接質問する。
今回のコシアブラの件を通じ、
ふくしま30年プロジェクトの阿部さんは
「食品の放射線量については
保健所によるネットの監視が
義務付けられているものの、
ネット販売される食品の把握に
行政が追いついていないという
印象がある」と言います。
ネット監視が義務付けられている以上、
公的機関による監視体制は
強化してもらう必要がありますが
同時に
消費者である私たちも
「自分たちの食の安全は
自分たちで守る」という意識が
必要なのではないかと思います。
そのためには「正しく知ること」。
正しく知ることは
危険な食品を避ける一方で
安全に食べられるものが多いことを
確認することにもつながると思います。
「正しく知ること」ができれば
自己判断ができるようになります。
それによって防げる風評被害や
フェイクニュースが
あるのではないでしょうか。
そしてそれは
食品中の放射線量に限らず、
今回のコロナに関しても、
今後起こるであろう災害に関しても
同じではないか?と思うのです。