「何を言われても、諦めるという選択肢は自分にはなかった。」・・・10年かけて、たった一人で避難の山を造ったシニアの物語②

人の命を守るために
あなたはここまで
できますか・・・?

「五つ星シニアを探せ!」
WEB版

週刊連載「五つ星シニアを探せ!」
河北新報2021年10月28日掲載



一軒目に建てた明媚なあずま家は
おさとうやまの麓にある、
旧・野蒜(のびる)駅のホームから
建物の一部分が見えたため
「あそこに何かある」と立ち寄る
観光客もいたそうです。


そんな訪問者に奥さんは
自分で採った山菜で天ぷらを作り
天ぷらそばにして提供したり
お茶を出したり。
和やかな雰囲気を作ってくれたとか。


「『山にこもって一人で
大工仕事をしている時は
孤独だったでしょう?』って
よく聞かれるんだけど、
狐の親子がひょこっと出てきて
見守ってくれたり
小鳥が遊びに来て
励ますように囀ってくれたから
孤独を感じたことなんてなかった」と
語ってくれました。


周囲の人々に批判されながらも
決して諦めなかった佐藤さん。
その強さはどこから来るの?と尋ねると
「人の命を守りたいという
強い気持ちがあったんですよ。
だから何を言われても
諦めるなんて選択肢はなかった」
・・・という答えが。


諦めない強い気持ち。
ですが、その強さを持ってしても
どれだけの人が
批判に負けず
他者の命を守るために自費で山を買い、
10年間もかけて
避難所建設を実現することが
できるでしょうか?
しかもたった一人で。


その半面で
「家族には迷惑をかけたな・・・と思う」
とポツリと呟く佐藤さんの一言が
私にはとても重く感じました。


たった一人避難の山「おさとうやま」を
造ったシニアの物語
次回は最終回です。

たった一人で避難の山「おさとうやま」を
造ったシニアの物語①はこちら